追悼
水町四郎先生を悼む
土屋 弘吉
1
1横浜市立大学
pp.892
発行日 1967年9月25日
Published Date 1967/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904285
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昭和42年8月14日早朝,先生は関東労災病院の一室で永遠の眠りに就かれた.先生のお顔は,永い病床生活のやつれも少なく,静かな平安をたたえた,柔しい美しいお顔であつた.先生の62年の御生涯は,張り詰めた.満を持した,激しい気魄の連続であつたが,静かに眠る先生のお顔は,「もうこれで終つたよ」とでも話しかげておられるかのように,大悟に徹した聖人のような深い安らぎがお見うけされた.
数年前から階段の昇降の際など呼吸促迫の御様子が見られ,最近は時々人院治療を必要とするような状態となられたが,先生は中央や地方の各種審議会,委員会などに関係しておられ,少しも公的生活の手を抜こうとなさらなかつた.周囲からの進言も大方却けられ,最後まで頑張り通されたのは,執念といつてよい程の先生の責任感であつたろうと思う.今秋に子定されている日本パラプレジア学会会長や災害医学会の鞭打ち損傷のシンポジウムの座長のお仕事については,亡くなられる直前までいろいろ気を配つたり指示を出したりしておられた.せめてこの二つの仕事が無事に終るまで御健在でいて頂きたかつたのにと残念でたまらない.
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