境界領域 骨・関節の病理学序章・3
加齢に伴う骨・関節のextrinsicな変化
三友 善夫
1
Yoshio MITOMO
1
1東京医科歯科大学医学部第一病理学教室
pp.628-637
発行日 1969年8月25日
Published Date 1969/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904112
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IX.老化のextrinsicな変化
人体の加齢に伴う生理的変化を老化のintrinsicな変化とすれば,老年期に特異的ないしは好発的に認められる疾患が老化のextrinsicな変化に相当すると思われる.加齢に伴つて老化した人体の組織や臓器には血管系の老化と緊密な関連のある脳神経系の障害,腎臓病,心臓疾患,糖尿病および諸種の臓器に原発して骨にも転移を示す悪性腫瘍などのさまざまな病変が発生し,進行する.しかもそれらの病変は老化した個体にあつては同一個体に一疾患のみに限らず,重複合併して複数的に認められる機会が少なくない.老年者の骨・関節も他の臓器組織とともに密接な関連をもつて老衰変化を進行させるように,肝臓,腎臓,消化管,心臓動脈系などの生理的な老化の影響はもちろん,これらの諸種臓器のいわゆる老年病と呼ばれる諸病変によつても著しく左右されている.そこで老年期に見出されやすい疾患と骨・関節の関係について概略的に考えてみたい.
骨・関節の加齢的な退行性変化の基礎疾患となる老年病は次のようなものである.
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