論述
外国における骨腫瘍登録の現況
青池 勇雄
1
Isao AOIKE
1
1東京医科歯科大学整形外科学教室
pp.415-422
発行日 1968年5月25日
Published Date 1968/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903918
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約十年前に天児教授と故三木教授との提案で,日本整形外科学会では骨腫瘍を登録するように決まり,そのために5地区に登録センターが置かれて,以来各地区の骨腫瘍委員がその登録の面倒を見てきた.4年前から全国的な集計は国立がんセンターに移り,毎年その集計の報告書が発表されていて,昨年までにその数は13,299例に及んでいる.
元来,骨腫瘍登録の目的とすることは他の疾患の登録と同様に,日本の骨腫瘍の実態をできるだけ詳しくし,色々の研究面に対してその資料を提供しうるようにすることである.そのためにはできる限り多くの症例が登録されなければ意味がない.登録は面倒な仕事で嫌われているが,そこは医学への貢献ということでお互いに辛棒していただきたい.しかし一方では少しでも登録しやすいように工夫することが大切である.そのためにはみんなからの意見をもとめることが必要であり,また外国における骨腫瘍の登録の状況を参考にすることも大切である.勿論,外国では日本のように全国的な範囲で登録されないで,骨腫瘍に深い関心をもつ大学とか病院の整形外科で,それぞれ独自の登録制を行なつている.しかし近年癌については対癌政策の一環として全国的登録制を採用する国が増加しつつあり,それの一部として骨の悪性腫瘍が登録されつつある.
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