第39回日本整形外科学会の焦点

　本年度の日本整形外科学会は間もなく渋谷公会堂を中心に岸体育館講堂，大向小学校講堂の3会場をもつて開催されることになつたが，この学会での特異点と云えば，主題が例年のものと少しく趣きが違つていることと，一般講演のあり方を従来とは少々違つた方式にして学会を本来の姿にもどそうと計画したことであろうと思う．

　さて，主題は「日本整形外科の歴史」と「下肢長調整の研究」の2題で，前者を特別講演として新潟癌センターの蒲原宏博士に講演していただくことになつた．今年は日本整形外科の生みの親である田代義徳先生の御生誕百年に当り，その記念祭が昨秋盛大に興行されたが，これと時を同うして日本整形外科の歴史と云う特別講演が選ばれたことは甚だ意義深いと思う、ややもすると現在に馴れて古きを顧みると云うことを忘れ勝ちになつた昨今，先人の苦労の跡をたどることは整形外科医のみではなく，医学の道を歩む者にとつて貴い反省の糧となるであろうと思う．