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シンポジウム スポーツ肩障害の病態と治療
投球時肩痛の発生に影響する因子
Clinical Factors Related to Shoulder Pain in Elite High School Pitchers
林田 賢治
1
,
中川 滋人
2
,
鳥塚 之嘉
3
,
菅本 一臣
3
,
越智 隆弘
4
Kenji Hayashida
1
1星ケ丘厚生年金病院整形外科
2大阪府立病院整形外科
3大阪大学医学部整形外科
4大阪大学大学院医学系研究科応用医工学講座
1Department of Orthopedic Surgery, Hoshigaoka Koseinenkin Hospital
キーワード:
shoulder throwing injury
,
投球障害肩
,
etiological factors
,
投球時痛誘発因子
Keyword:
shoulder throwing injury
,
投球障害肩
,
etiological factors
,
投球時痛誘発因子
pp.673-677
発行日 2002年6月25日
Published Date 2002/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903561
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要旨:全国高等学校野球選手権大会出場チームの投手のなかで大会前に直接検診した569名を対象とし,投球時肩痛の発生に影響する因子を検討した.評価項目は,1カ月以上の投球時肩痛歴の有無,関節可動域の絶対値および投球側―非投球側差,外転筋力,X線による肩峰形態:肩前後像による肩峰の傾斜(水平,外側下がり),肩甲骨Y撮影による肩峰形態(flat,curve,hook),大結節の形態(弓状,角状),2kg重垂を用いての下方動揺性,挙上位前後像による後方動揺性とした.肩痛の有無と関節可動域,外転筋力,X線評価間での相関を検討した.その結果,1カ月以上の肩痛の経験があった症例は147名(26%)であった.関節可動域,外転筋力に関しては,投球側の絶対値,非投球側との比較とも,肩痛あり群と肩痛なし群間に統計学的有意差(t検定)は認められなかった.X線学的評価では,肩峰形態,後方動揺性では,肩痛あり群と肩痛なし群間に統計学的有意差は認めなかった(以下χ2検定).大結節形態は,肩痛あり群で,弓状46肩,角状101肩,なし群で189肩,233肩と有意差を認めた(p<0.005).下方動揺性は,肩痛あり群の(-)は63肩,(±)は73肩,(+)は11肩,なし群では,それぞれ172肩,185肩,65肩で有意差を認めた(p<0.05).角状大結節をもった肩関節は投球時痛を生じやすく,下方動揺性を持った肩は投球時痛を生じにくいといえる.
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