Japanese
English
臨床経験
非定型的症状を呈した遠位上腕二頭筋腱断裂の1例
Rupture of the Distal Biceps Brachii Tendon Featuring Atypical Symptoms : A Case Report
佐々木 政幸
1
,
小川 清久
1
,
浪花 豊寿
1
,
堀内 行雄
1
,
戸山 芳昭
1
Masayuki Sasaki
1
1慶應義塾大学医学部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, School of Medicine, Keio University
キーワード:
tendon rupture
,
腱断裂
,
biceps brachii tendon
,
上腕二頭筋腱
Keyword:
tendon rupture
,
腱断裂
,
biceps brachii tendon
,
上腕二頭筋腱
pp.1045-1047
発行日 1999年8月25日
Published Date 1999/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902787
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抄録:遠位上腕二頭筋腱断裂は,主にその特徴的な症状と所見,特に筋の上方移動による異常な膨隆とその下方の陥凹,肘窩部の腱消失によって診断される.今回われわれは,大量出血や尺骨神経不全麻痺などの非定型的症状を呈した症例を経験したので報告する.患者は64歳男性で,約30kgの缶を両手で抱えるように胸の位置まで持ち上げた際,異音とともに痔痛のため右肘関節運動が不能となった.初診時,上腕から前腕は著しく腫脹しており,翌日には右尺骨神経領域の知覚鈍麻も出現した.大量出血の存在から上腕二頭筋の遠位筋腱移行部あるいは筋腹部における断裂を疑ったが,術中所見はlacertus fibrosusの筋引き抜き損傷を伴った遠位腱断裂であった.非定型的症状の主因となった大量出血は,lacertus fibrosus付着部の筋引き抜き損傷,上腕二頭筋の著しい短縮による栄養血管の損傷が,また,尺骨神経不全麻痺の原因は,上腕前方コンパートメントの圧上昇が原因と推測された.
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