最新基礎科学/知っておきたい
MMPとTIMP
高木 理彰
1
1山形大学医学部整形外科
pp.880-882
発行日 1999年7月25日
Published Date 1999/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902755
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細胞外基質分解酵素の一つであるマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase:MMP)とその内因性阻害因子(tissue inhibitor of metalloproteinase:TIMP)が多面的な機能を有する分子として注目され,現在,これらに関する多くの研究が行われている.MMPとTIMPは,他の蛋白分解酵素,サイトカイン,細胞増殖因子,細胞外基質蛋白とともに,骨・軟骨をはじめとする個体発生や生体の恒常性維持に必須とされ,また,がんの浸潤・転移,慢性関節リウマチや各種関節疾患の骨・軟骨破壊,生体材料の親和性の維持,神経再生,血管新生,創傷治癒機転など整形外科領域に関連する疾患・病態のほか,循環器疾患,呼吸器疾患,腎疾患,脳疾患など多くの病的状態で結合組織代謝に関与するとされている1~4).
生体は,体液,細胞,細胞外基質から構成され,細胞外基質は,遺伝子レベルで制御された産生量と分解酵素によつて代謝回転が規定されている.細胞外基質を分解する酵素は,活性中心の触媒残基の違いにより分類され,酸性領域に至適pHを持つアスパラギン酸群,システイン群と,中性領域に至適pHを持つセリン群,そしてMMPの属するメタロ群が知られている.MMPは,現在18種類の分子が同定されており(表1),共同で作用すると生体内に存在する実に多くの細胞外基質を分解することができる4).
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