特集 不安定腰椎(第18回日本脊椎外科研究会より)
座長総括
「Ⅴ.展示討論(1)―病態と診断―」
大井 淑雄
1
Yoshio Ooi
1
1自治医科大学整形外科学教室
pp.360-362
発行日 1990年4月25日
Published Date 1990/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900065
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
最近のポスターセッションは以前考えられがちであったような,口演演題の補欠の感じから脱却して,ポスターにふさわしいものが選ばれている.この研究会においても会長がそのような意図の下に選択されたと見えて内容は口演のそれに優るとも劣らぬものが多かった.演者も討論者も熱心で質疑応答も白熱したものであった.何百入も何千人もが坐っている会場で5分とか10分とかの口演をして,その後かなり離れた遠方の場所から相手の顔もよくわからぬぐらいの距離で質問してもなかなか議論はかみ合わない.得てして賛成演説になったり,年上の者が発言することが多かったりしておもしろくないこともある.そのような欠点を補うのにポスター展示に討論を加えるのは賢明である.P1~10までを司会進行係りをつとめ全体の印象とはかかるものであった.腰椎の分離辷りの運動は側方向からの観察のみでは三次元の動きを捉えられない,つまり三つの面での複雑な不安定性を示すという考えは数年前から国際学会などでも常識となっているがその判断の方法としてP1の鈴木(東北大)は同時2方向撮影装置を考案しP2の星島(高知医大)らは回旋不安定性を計測して報告した.加齢による辷りの度合の変化がほとんどなく,辷り分類のI,II度などにより可動域が変りIV度になるとほとんど低下するという結果は納得できるものである.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.