境界領域/知っておきたい
メノポハンド(Menopausal Hand,更年期手)
平瀬 雄一
1
Yuichi HIRASE
1
1四谷メディカルキューブ手の外科・マイクロサージャリーセンター
pp.1452-1456
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408203176
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はじめに
手指の不定愁訴は,更年期あるいは更年期以降,さらに産後授乳期に多くみられる.主な手指の変性疾患は更年期以降に集中して発症しており,実際の臨床でもよく経験する.患者の多くが発する質問は「私の手はなぜ痛いのか,どうして私だけが痛いのか」といったものであるが,返答が難しい疑問であった.最近,こうした手指の不調は女性ホルモン,特にエストロゲンの変化と濃厚に関連しているのではないかという指摘がされるようになってきている1).エストロゲンの急激な変化はいわゆる更年期(女性であれば40歳以降,男性であれば60歳前後)に起こるため,その時期にみられる手指の不調を更年期手(menopausal hand,以下メノポハンド)と呼ぶようになった.最近の研究成果を踏まえて,手指不調の発症の背景について考察したい.
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