増大号特集 できる整形外科医になる! 臨床力UP,整形外科診療のコツとエッセンス
column
骨軟部腫瘍診療と多施設連携
尾﨑 敏文
1
Toshifumi OZAKI
1
1岡山大学学術研究院医歯薬学域生体機能再生・再建学講座(整形外科学)
1Department of Orthopaedic Surgery, Science of Functional Recovery and Reconstruction, Faculty of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences, Okayama University
pp.568
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202647
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私が骨軟部腫瘍診療に関わりはじめて35年が過ぎました.診療を担当された先生方や医療スタッフ,そして基礎研究,臨床研究を担当された皆様のご尽力により,この間に生存率は大きく上昇しました.この領域は,がん医療としての研究の継続,そして外科医としての手術テクニックの向上も要求されますし,術後のリハビリテーションも重要です.10万人あたり6例未満の発症が希少がんとなりますので,原発性骨軟部悪性腫瘍は希少がんに該当します.このような疾患こそ,意味のある治療成績を出していくには多施設共同臨床研究が重要で,限られた症例数を考えればall Japan体制が必要となります.
現在,私が参加しております多施設共同研究グループでは,いくつかの前向き研究を行ってきました.そして,第Ⅱ相試験の結果で効果があると考えられていた治療法が,ランダム化を伴った第Ⅲ相試験により否定されることが続きました.あらためて第Ⅲ相比較試験を行う意義が認識できたわけです.さらに,現在では,腫瘍内科医,小児科医,放射線科医等と治療連携グループの形成が大変重要となっています.また,がん罹患者数の増加や生存期間の延長に伴い,がんロコモそして骨転移に対する対応はより重要となってきています.特に,その腫瘍の担当診療科との連携だけでなく,外傷担当医や脊椎外科医との整形外科での科内連携の重要性も高まっています.
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