連載 やりなおし! 医療制度 基本のき・7
学校保健—運動器健診の進めかた
森山 正敏
1
1医療法人社団正慈会 森山整形外科
pp.846-849
発行日 2020年7月25日
Published Date 2020/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201750
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わが国の学校保健制度は昭和33年に制定された学校保健法により構築され,伝染病やう歯対策に始まり,戦後の混乱期に認められた児童生徒の多くの健康問題の解決をはじめ,以後さまざまな課題について適切な対応により大きな成果を上げてきた.しかし,社会状況の大きな変化により,われわれを取り巻く環境も著しく変貌し,青少年の健康にかかわるさまざまな問題が起こっている.平成20年の中央教育審議会答申「子どもの心身の健康を守り,安全・安心を確保するために学校全体としての取り組みを進めるための方策について」では,子どもの健康を取り巻く状況について懸念を示し,その中で過度の運動・スポーツによる運動器疾患・障害を抱えている子どもがみられるとしている.
今の子どもの身体活動には二極化がみられ,それぞれに健康上の問題がある.すなわち運動不足による体力,運動能力の低下とともに肥満などの生活習慣病の増加があり,一方,運動のしすぎによるスポーツ傷害が後を絶たないばかりか,取り返しのつかないまでに進行した障害を目にすることも少なくない.学校検診において平成6年に旧文部省体育局長通知として「脊柱および胸郭の検査の際には併せて骨・関節異常および四肢の状態にも注意すること」と明記されたが,法的拘束力がなかったためほとんど実施されなかった.
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