コラム
怖い!熱中症
高橋 真
1
1高橋整形外科医院
pp.726-727
発行日 2020年6月25日
Published Date 2020/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201724
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救急医療において,患者情報が不正確で,外傷か疾病かの判断が難しいケースもある.誤った情報でⅢ度の熱中症(いわゆる熱射病)の診断が遅れ,医師の過失を指摘されたケースを紹介する.
身体は放熱量が少ない冬仕様からすぐに夏仕様に替えられないため,5月でも気温の高い日・湿度の高い日などには熱中症を認めることがある.O県立高校2年生男子Aは剣道3段で主将を務めていた.平成21年8月22日の朝9時から剣道7段と5段の顧問教員2人が部員を指導.外気温は30℃近く,剣道場は窓全開,扇風機を回し,部員は水分を摂り保冷剤で体を冷やして練習していた.Aは他の部員より多く打ち込み稽古をさせられ,「もう無理です」と訴えても稽古を続けていた.途中から竹刀を落としたのにも気付かず構える仕草などもしていた.教員の1人がAを蹴ると,Aはフラフラと歩き壁に額を打ち頭部からの出血も認めた.11時55分頃休憩に入り,教員らはAに水分を摂らせて冷却したが,嘔吐し声掛けに応じなくなったため,12時10分頃に救急車を要請し同54分に病院へ搬入された.
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