増大号特集 臨床整形超音波学—エコー新時代、到来。
2 はじめの一歩〈まずのぞいてみよう〉
—column—運動器エコー物語2020—なぜエコーを始めたのか
皆川 洋至
1
1医療法人城東整形外科
pp.480-481
発行日 2020年5月25日
Published Date 2020/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201668
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エコーゼミの門を叩いたのは1987年,剣と医の道を志す大学4年生のときでした.道場主は,後にエコー界のトップに君臨する伊東絋一先生(自治医科大学名誉教授,現済生会陸前高田診療所長).プローブを当てるだけで簡単に身体の中がみえる,この衝撃が脳裏に焼き付きます.そして卒後4年目,鈍(なまくら)コンベックスで論文を書き上げることへとつながります1).9年間の義務年限を終えた後,井樋栄二先生(東北大学整形教授,元秋田大学整形外科教授)らと肩関節の基礎・臨床研究に明け暮れます.天下を取った気分で「俺の専門は肩関節!」と叫ぶ毎日.学位論文・日本肩関節学会賞論文はじめ2,3),数多くの論文を書きました.
あるとき,学会で腱板断裂の保存治療成績を報告します.手術例は保存治療の成績不良例を意味するはず,それにもかかわらず過去の論文は対象から手術例を除外したものばかり,手術せず徹底的に保存治療した報告は相当インパクトあるものになりました.ところが学会場である重鎮から叱咤されます…「勇気がない!」.重鎮には全国からよくならない手術対象患者が集まる,一方,底辺の自分には近所の肩痛患者が集まる,だからこそ多くの無症候性腱板断裂患者をみてきた,拳を握り締め心の中で叫びます.
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