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書評 外科系医師のための手術に役立つ臨床研究
紺野 愼一
1
1福島県立医大・整形外科学
pp.540
発行日 2018年6月25日
Published Date 2018/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201112
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従来,大学での医学研究は基礎的な研究が主流だった.テーマは教授から与えられ,それを従来の手法で行うのが常だった.しかし,現在では質の高い臨床研究により,さまざまな疾患の診断や治療の科学的な根拠を明らかにすることが可能となった.臨床研究の質は,研究デザインの質とそのアウトカムが,個人や社会にどの程度大きなインパクトを与えるかにより決まる.質の高い臨床研究を行うことは容易ではない.それを教育する資材は極めて乏しい.本書は外科系医師のための臨床研究を行う教材としては最も優れた本といえる.
1990年代に臨床研究のエビデンスが重要視されるようになり,外科的な疾患に対する診断や治療のエビデンスが求められるようになってきた.本書は,『外科系医師のための手術に役立つ臨床研究』というタイトルである.第一に臨床研究を行う場合,質の高い臨床研究をデザインすることが求められる.本書はそのための手順を初心者にでも理解できるように平易に記述している.1つの手術手技のエビデンスを明らかにすることは簡単ではない.しかし時代がエビデンスを求めている以上,それに応える臨床研究を行うことが,今われわれ外科系医師に求められている.若い医師からベテランの外科医に至るまでぜひ読んでいただきたい1冊である.
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