最新基礎科学/知っておきたい
異物巨細胞
宮本 健史
1
1慶應義塾大学医学部整形外科学教室
pp.256-259
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200148
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■はじめに
整形外科で行う手術では,人工関節やスクリュー,プレートなど,さまざまな人工物を患者に埋入し,関節置換や整復,固定を行う手技が多い.しかし,これら人工物留置に対し,生体がどのような反応を示し,またそれらをどのように許容しているか,ということについて,われわれ整形外科医は日常診療の現場ではほとんど考える機会はない.これら人工物のゆるみや脱転が生じた際に,時々「異物巨細胞」のことを思い出すことがある程度であろう.そう,これまで「異物巨細胞」はせっかく患者のために入れたインプラントなどをだめにする「悪者」と考えられていた.しかし,近年明らかにされてきた知見からは,「異物巨細胞」にはインプラントを脱転させる力はないことが示されている.本稿では,最近わかってきた「異物巨細胞」の分化や起源,性質,役割およびその制御について最近の知見を紹介し,考察したい.
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