連載 いまこそ知りたい臨床医に必要な放射線の知識Q&A・1【新連載】
Q1 放射線と放射能の違い
鈴木 啓司
1
,
山下 俊一
1
1長崎大学原爆後障害医療研究所社会医学部門放射線災害医療学研究分野
pp.76-77
発行日 2014年1月25日
Published Date 2014/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102943
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福島原発事故後,身の回りにも放射能や放射線があることが広く知れ渡るようになりました.空気中のラドンや食物の中のカリウムなどもその例ですし,宇宙からも大地からも常に放射線を浴びています.しかし,五感に感知せず,その単位もいくつもあり理解に窮するようです.物理的な単位であるベクレルは1秒間に一つの原子核が壊れて放射線を出す割合ですが,計測しなければわかりません.すでに私たちの体の構成成分には成人で平均7,000ベクレル程度の放射能があります.そのうち4,000ベクレルがカリウム40という放射性物質に由来します.原発事故後,医療人も科学的思考を大事に,リスクがゼロではないX線検査の中で,いかに正しく放射能や放射線を理解し,患者さんと同時に術者自身への被ばく線量を低減する努力が求められています.しかし,整形外科医の多くは,日常X線照射による診断や治療は得意でしょうが,核医学や放射線防護学の知識は乏しいと言えます.そこで本シリーズの第1回目は物理学の復習と用語の確認から始めます.
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