連載 知ってますか?整形外科手術の変遷・13
脊柱後弯症の手術(第1回)
竹光 義治
1
1旭川医科大学
pp.391-398
発行日 2013年4月25日
Published Date 2013/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102674
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はじめに
脊柱後弯症は古来人類を悩ませてきた疾患で,ギリシャ・ローマ時代から変形矯正への努力がなされてきた48).後側弯の奇形椎切除骨切り術の報告は渉猟しうるものとして,1932年のCompere8),1933年のvon Lackumら54)が最初であろう.しかし,経過観察や合併症についての記載はなく,実際上にあまねく脊椎外科医の参考にされたのは,1945年米国のSmith-Petersenら43)の論文であり,ヨーロッパでは1946年のLa Chapelle28)によるopen wedge osteotomyである.一方,1934年わが国のItoら19)は腰椎椎体に直達し結核病巣の前方固定術を初めて詳しく紹介し,脊椎前方手術のパイオニアとして世界に広く知られたことは周知の通りである.
以後60年余り,手術手技の進歩は先人達の苦闘と――患者側も含めて――並々ならぬ努力により矯正率も安全性も画期的な進歩を遂げてきた.
後弯症には強直性脊椎炎やScheuermann病,変性後弯症など円背型と,結核性や先天性,外傷性の後弯症など角状型があり,また原因疾患,年齢,病態,麻痺の有無,後弯の範囲と高位などによってそれぞれ特別な配慮のもとに手術がなされてきた.以下,代表的な後弯症手術について,歴史的変遷の概説を試みたい.なお,諸般の都合上,骨粗鬆症性後弯については略させていただく.
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