書評
『みえる腰痛:体性感覚構造図―運動器疼痛の診断のための示説(DVD-ROM付)』
星地 亜都司
1
1自治医科大学整形外科
pp.1201
発行日 2012年12月25日
Published Date 2012/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102542
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私にも単著発刊の経験があり,専門書・手術書の編集執筆経験もあるが,それらは,通常の臨床経験や臨床研究に基づく,言ってみれば,日々手術数をこなし,データをためて努力すれば,発想が貧困でも書ける内容のものであった.このたびそのような通常の発想を超越した素晴らしい書籍が高橋弦氏のご努力により誕生した.高橋氏のご発表や論文については,何度か拝聴・拝読し,ずっと気になっていた.いつか栃木での御講演を依頼したいと考えていた折,この春に開催された日本脊椎脊髄病学会での書籍販売場でこの本の表紙が目に飛び込み,早速入手した.
「複雑さに挑む科学―多変量解析入門」(柳井晴夫ほか,ブルーバックス,1976)という30年以上前に出版された統計の入門書には,今では当たり前の,統計学的な手法を用いて世の中の複雑な現象を最適なモデル作成によって説明しようとしたことが書かれている.マーケティング調査などでもそのような手法が当たり前にように実施されている昨今である.その当たり前のことが一昔前には当たり前ではなかった.高橋氏はいろいろな部位に起因する腰痛の最適化モデルを美しく表現され,永遠のテーマとも言える腰痛の合理的な解明に挑んだのである.
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