視座
地域医療再生と整形外科
和田 卓郎
1
1札幌医科大学道民医療推進学講座
pp.611
発行日 2012年7月25日
Published Date 2012/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102387
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平成22年(2010年)9月,北海道の寄付講座・道民医療推進学講座が開講した.メンバーは整形外科,消化器外科,血液内科,循環器内科の専門医4名である.地域医療の担い手は総合医であるが,その養成と充足には時間がかかる.専門医の立場から,地域,特に地域中核病院における専門医の適切な配置,派遣システム構築に寄与することが本講座設立の目的である.
今日の地域における医師不足,地域医療崩壊には様々な原因がある.筆者は,社会構造の変化に伴う地方の経済・文化的衰退,特に教育環境の問題も1つの大きな要因と考えている.北海道の面積は,東北6県に新潟県を加えたものに匹敵する.仮に大学病院(札幌,旭川)の医師を地域の病院に派遣しようとすると,自宅からの通勤は困難で転居が必要になる.多くの医師が子弟の教育を考慮し,単身で赴任する.医師が地域医療に対していかに高い志を持っていたとしても,単身生活が続けばやがて疲弊してしまう.総合医,専門医を問わず医師が地域に居つかない原因になっている.解決には,医師を都市・地域間で円滑に異動させるシステムを構築する以外にない.卒後一定年限,医師を強制的に地域医療に従事させようという声もあるが,筆者は賛同できない.若い医師の地域医療に対するモチベーションの低下を危惧するからである.
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