- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
先日,中国整形外科学会が北京で開催され出席してきたが,学会の規模の拡大のスピードに驚きを禁じ得なかった.約13億人という人口を有する国が急速に発展しつつある姿を如実に反映した学会の規模とスタイルの変化は,世界中から集まった参加者に強烈なイメージを印象付けるに十分であったと思われる.中国という国では,数年前までは,スライド発表の登録や発表会場での大きなトラブルの発生も日常茶飯事の出来事であった.今回の学会では,学会場のスライド受付のspeakers ready room一つを例えてみても,ほぼ完璧な英語を話せる若いボランティアが何人もいて,動画での発表を敢えて避けていた自分は驚きを隠せなかった.また,世界中から参加している整形外科医の数,展示会場の規模と参加している企業の数など,アメリカ整形外科学会の模倣の域から抜け出ようとする新しい息吹を感じた.学問的な発表のレベルは,残念ながらほとんどが中国語の発表なので,その科学的な価値を判断することが難しいが,学会の運営の変化から考えると,将来の整形外科の学問的なレベルが発展してくることも想像に難くない.オリンピックを契機に発展した,国の政策とも考えられるが,今後どのような展開を示すのであろうか.日本に帰国すると,空気の澄んだ,全く違う街並みの美しい国土に安堵するが,全く違う環境でひたすら前進している隣国の姿を忘れてはならないような気がする.隣国の発展ぶりに目をパチクリさせられるだけに,今後若い整形外科医を育てるための,さらに充実した整形外科の教育システムの構築などを含めて,日本の整形外科医療がさらに充実していくことを切に望むものである.また本誌が若い整形外科医の先生方の学習の一助になることを期待したい.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.