視座
診療ガイドラインと整形外科疾患
里見 和彦
1
1杏林大学医学部整形外科
pp.711-712
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100720
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このところ,厚生労働省主導で各診療科とも診療ガイドライン作成が行われています.私も,日本整形外科学会と日本脊椎脊髄病学会の診療ガイドライン作成委員会の1委員として,腰椎椎間板ヘルニア,頚椎症性脊髄症,頚椎後縦靱帯骨化症に関与しています.
整形外科の代表的疾患について,患者用,一般医師用,専門医向けのガイドライン作成することに異議はありません.しかし,上記病名の診断基準はありません.ほとんどの論文は,診断基準がないまま診断や治療を論じています.腰椎椎間板ヘルニアといえば,整形外科医には暗黙の診断基準があり,間違いがないとの前提に立っています.MRI所見だけで診断している開業医もいると思います.CTでOPLLがあれば,神経麻痺がなくても後縦靱帯骨化症として手術を勧めている医師もいると聞いています.整形外科的慢性疾患は,高血圧症,糖尿病,白内障などと比較するとガイドラインに向かない疾患群といえます.
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