シリーズ早期癌を見直す・2 早期大腸癌・2
早期大腸癌診断の最前線—①X線診断
平川 雅彦
1
,
渕上 忠彦
1
Masahiko HIRAKAWA
1
,
Tadahiko FUCHIGAMI
1
1松山赤十字病院消化器科
pp.1609-1613
発行日 1995年12月20日
Published Date 1995/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902165
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はじめに
近年,本邦における大腸癌の増加は著しい.これは食生活の欧米化とともに大腸検査法の診断能の向上によるところが大きい.とくに大腸内視鏡検査は前処置法の改善,1人法による挿入技術の向上,電子内視鏡や拡大内視鏡の導入などにより診断能が向上した.一方,注腸X線検査は1971年の狩谷ら1)の報告以来,前処置法や撮影装置などに改善はなく,最近注目されている表面型大腸腫瘍の拾い上げ診断に関しても内視鏡検査に遅れをとっているのが現状である2).一方,筆者らは診断能の高い写真撮影を心掛ければ表面型腫瘍のX線描出も可能であり3,4),さらに病変の広がり,大きさ,肉眼形態の客観的な把握や深達度診断には,むしろ注腸X線検査のほうが有用である5,6)と報告してきた.
本稿では,早期大腸癌の拾い上げ診断および深達度診断におけるX線検査の有用性と問題点について,われわれの成績を交え述べる.
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