特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅰ.救急患者のプライマリ・ケアにおける薬物療法
15.無尿・乏尿
北島 武之
1
1東京慈恵会医科大学第2内科
pp.40-41
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900931
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1日の尿量が400ml以下を乏尿といい,同じく100ml以下の場合を無尿というが,いずれも尿の生成障害に起因するものをいう.したがって,膀胱に溜まった尿を体外に排泄できない場合の尿閉とは区別されなければならない.
通常,健康成人は24時間に1,000〜1,500mlの尿を排泄する.この時の尿浸透圧は500〜800mOsm/kgH2O,比重は1.015〜1.026程度である.尿量,比重は飲水量,発汗や消化管などからの水分喪失量によって変化する.ところが乏尿になると,体内で生成された窒素系代謝産物や過剰電解質などを排泄できないために,体液の恒常性が保てなくなり,やがて血中の尿素窒素やクレアチニンの値が上昇して腎不全に陥る.
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