書評
—衣袋健司(著)—腹部血管画像解剖アトラス
佐藤 達夫
1
1有明医療大学
pp.807
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212086
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画像機器とカラー写真印刷技術の驚くべき発達により,有用な画像診断アトラスが多数出版され,応接に暇がないほどである.このような状況はもちろん医学の進歩にとって歓迎すべきことではあるが,少し不満を抱かざるを得ないのも事実である.
19世紀のはじめ,フランスの内科医ラエンネック(1781-1826)は聴診器を発明・開発し,当時の医学に大きな進歩をもたらした.彼は,患者の生前の詳しい聴診所見と死後の剖検所見の照合を重ね,その成果を900頁に及ぶ大冊(間接聴診法,または,この新しい探究法に主として基づいた肺と心臓の疾患の診断に関する研究,1819)にまとめた.このような間接所見と直接所見を統合した書物が後ろに控えておれば,安心この上もない.
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