Japanese
English
臨床研究
肝障害時の術後アミノ酸輸液
Postoperative amino acids infusion in case with liver damage
浜崎 啓介
1
,
三村 久
1
,
小長 英二
1
,
田中 紀章
1
,
上田 祐造
1
,
大原 利憲
1
,
小林 敏幸
1
,
折田 薫三
1
Keisuke HAMAZAKI
1
1岡山大学医学部第1外科
pp.565-571
発行日 1982年4月20日
Published Date 1982/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207942
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
1968年Dudrickの報告1)以来,各種の栄養素を総合的に静脈内に投与する完全静脈栄養法(TPN)が術後管理に広く用いられ良好な成績が得られている2,3).これらの経験から長期絶食時などの侵襲による体蛋白代謝異常とその時投与されるアミノ酸とくに分枝鎖アミノ酸の体蛋白異化抑制効果が注目されるようになつた4,5).一方,肝硬変合併肝癌や高度の肝障害のみられた消化管,膵,胆道系疾患の患者では,術後血中アンモニアが高くなつたり,消化管出血などの合併症により蛋白制限の必要にせまられることがある.このような場合には肝疾患に伴うアミノ酸不均衡は改善されず,また従来のアミノ酸輸液を投与した場合には肝性脳症を惹起する恐れがある6,7).
Fischerは,血中遊離アミノ酸レベルと肝性脳症の関連性について検討し,フェニールアラニン(Phe),チロジン(Tyr),トリプトファン(Trp)など芳香族アミノ酸の増加とロイシン(Leu),イソロイシン(Ile),バリン(Val)などの分枝鎖アミノ酸の減少を報告した.そして,芳香族アミノ酸を少なくし,分枝鎖アミノ酸を多くした特殊組成アミノ酸輸液すなわちフィッシャー液(FO−80)を作製した8)(表1).われわれは,わが国で作製されたFO−80と同一組成を有するGO−80(以下,フィッシャー液と記す)を肝障害患者の術後管理に用いその結果について検討したので報告する.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.