わが自慢の手術器具・5
秋山式食道鉗子と腸断端鉗子
秋山 洋
1
1虎の門病院消化器外科
pp.718-719
発行日 1980年5月20日
Published Date 1980/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207440
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1.食道鉗子
胃全摘後の食道吻合,または胸腔内食道吻合では食道鉗子の役割は重要である.従来最も問題になつた点は食道が鉗子から滑脱したり,滑脱しないまでも,操作中食道の縫い代が十分にとれなくなるようなことが起こりがちであつた.とくに食道断端の視野を良好にしようと鉗子を不用意に手前に牽引することにより鉗子から抜けた食道は縦隔の奥深くに引きこまれて困惑することとなる.従来の食道鉗子のこの本質的な欠点を補うために鉗子の刃幅の工夫と,刃自体に組織の挫滅を避ける工夫を加えた特殊な食道鉗子を,製作し,使用している(図1).
この,食道が滑脱しにくいという理由の1つに鉗子の刃幅がせまいということが大きく関係している.このことにより同時に,鉗子より食道断端側に食道の長さの余裕をもつことが出来る.すなわち食道粘膜に十分ゆとりをもつて吻合操作を行なうことが出来る利点がある.
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