カラーグラフ 消化管内視鏡シリーズ・7
術後胆管内視鏡検査法
山川 達郎
1
1帝京大学医学部四方外科
pp.142-143
発行日 1976年2月20日
Published Date 1976/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206433
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術中胆管造影法のroutine化は,確かに無用な胆管切開を少なくしたものの,false positive, false negativeの問題は,レ線学的診断法が推定診断である以上永遠に議論のつきないところであり,これをいくらかでも少なくし遺残結石,肝内結石症の発見,予防,および治療に結びつく方法をと期待するならば,肉眼的裏付けが得られる内視鏡的検索法が要求されることはいうまでもない.
術後胆管内視鏡検査法は,あまり聞きなれない言葉であると思われるが,これは術後約3週間後にT-tube cholangiogramを介してわれわれの開発した改良型胆道fiberscopeを挿入,生理食塩水を滴下しながら胆管内を検索するものであり,諸種鉗子類を用いての非手術的結石の摘出や腫瘍組織の生検等の他,T-tube cholangiogramで十分に表現できなかつた肝内胆管には,直視下選択的にteflon tubeを挿入,いわゆる直視下選択的胆管造影を行なうことができる.われわれは本法を,T-tube挿入例全例に行ない,臨床応用上安全かつ容易で患者に与える苦痛も少なく,繰り返し行ない得る本法は,診断,治療に直結するものでもあり極めて有用であるとの結論に達した.routine化されるべきものであろう.諸家の追試とご批判を仰ぐ第である.
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