Japanese
English
特集 外科とME—その現況と将来
ペースメーカー最近の問題
Cardiac pacing, present and future
三井 利夫
1
,
三枝 正裕
1
Toshio MITSUI
1
1東京大学医学部胸部外科
pp.25-32
発行日 1974年1月20日
Published Date 1974/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205955
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はじめに
電気刺激により心臓が収縮することはかなり古くから知られていたことであるが,これが徐脈に対する治療法として臨床に用いられたのは1952年Zollら1)の報告をもつてその嚆矢とする.しかしこれは体表面から通電が行なわれたもので,パルス発生装置を体内に植込み長期的にペーシングを行なうようになつたのは1956年からで,わが国では1963年に最初の植込み手術が行なわれた2).
その後本法の発展はめざましく,その適応は徐脈のみでなく,頻脈の治療にまで拡大され,ペースメーカーの機械的信頼度は向上し,その電源としてラジオ・アイソトープの利用も実用化されるようになつた.また患者のアフター・ケアーの面でも,電話電送による電池消耗度の管理など広域医療への第一歩もふみだされた.しかし,生体の微妙な反応に即応するため機械の機能を高めれば複雑化による信頼性の低下をまぬがれず,また機械の変化に適応しきれない生体側の問題もおこつてきている.これらの諸問題にふれながら本法の現況と将来への展望を述べてみたい.
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