Japanese
English
特集 頸部血管障害
—再録—脈無し病
Pulseless disease
清水 健太郎
1,2
,
佐野 圭司
3,4
Kentaro SHIMIZU
1,2
,
Keiji SANO
3,4
1東京大学医学部大槻外科
2現東大
3東大大学院
4現東大医学部脳神経外科
pp.1351-1372
発行日 1972年10月20日
Published Date 1972/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205686
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本病の紹介
この病気は新しい病気ではない.然し稀な病気である.日本に於ての報告を総ざらひしても,26例を越さないだらう.外国には遂に報告例が見当らない.私は前々(昭和12年頃)から,この病気に縁を持つて注意して見て居たのであるが,どうも此頃殖えて来た様に思ふ.終戦後方々から紹介されて来ることが多いのである.この病気はまだ正式に名前がついていないので,色々な名をつけられて,又は名なしのまま送られて来る.そればかりではない.この病気の原因も解つていなければ,従つて治療法もない.もつとひどいことには,症状そのものすらほんとうには掴まれていない.即ち何も解つていない状態なのである.私はこの病気の7例に関係した.そして各々詳細に観察することにより色々新しいことも発見したし,昔からの報告例とも対照してみて,一応症候学を完成出来たと思ふ.又病理,病源論等に関しても多少の新知見を加へ,且治療法にも色々の工夫を試みているので,多少意に満たない処もあるけれど,不取敢今までの事をまとめて発表する次第である.
此疾患の理解の便宜上,其代表的な1例の病歴を掲げよう.
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