他科の知識
麻酔科の立場からみた緊急気管切開
黒須 吉夫
1
,
矢沢 知海
1
,
明石 勝頼
1
,
田村 京子
1
,
稲見 浩三
1
,
佐藤 国男
1
,
金城 亀次
1
Yoshio KUROSU
1
1東邦大学麻酔科教室
pp.270-274
発行日 1968年2月20日
Published Date 1968/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204527
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はじめに
今世紀初頭までは,むしろ危険視さえされていた気管切開術は,以来その適応の変遷,拡大1)と相俟つてますますその有用性が認められるようになつてきた.一方,最近は外科領域においてはもちろんのこと広く内科領域においてもしばしばその適応が見られ積極的に気管切開が施行される傾向になりつつある.加えて近代麻酔学の導入は気道の確保,呼吸および循環の管理等の点で必然的に麻酔医の関与する面が生じてきた.かかる現状で麻酔科として積極的に気管切開症例に参与するのは当然であろう.気管切開施行の時期の適切な判断は,もとより受持医の主たる任務であるが,従来の報告2)3)によると約30%近い合併症発生率があるということからみても本法は決して軽々しく行なわれるべきでないことはもちろんである.また救急時における気管切開施行例においては,選択的な気管切開例より2〜5倍近い合併症4)をみるといわれている.このようないわゆる緊急気管切開例に麻酔科の立場から可及的に,より安全かつ理想的な気管切開の施行できるよう協力すべきであろう.
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