Japanese
English
特集 甲状腺疾患の問題点
いわゆる側迷入甲状腺腫
So-called "Lateral aberrant thyroid tumors"
古屋 四郎
1
,
佐藤 清
1
Shiro FURUYA
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
pp.1247-1253
発行日 1967年9月20日
Published Date 1967/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204398
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はじめに
甲状腺の癌は他の臓器のものと異なる性格をもつており,臨床的に特異な病像をとることが比較的多く,そのひとつにいわゆる側迷入甲状腺腫がある.これは側頸部に腫瘤を認めて診療をうけ,外科的に摘出し病理組織学的に検索し,初めてこの腫瘤が甲状腺由来であるか,甲状腺構造を持つていると判明した場合を通常呼んでいる.側頸部腫瘤のみでなく甲状腺自体に対しても同時に検索が加えられるにつれて,ほとんど大部分は甲状腺癌の側頸部リンパ節転移であることが判明してきた.したがつて側迷入甲状腺腫という言葉は大部分が迷入という意味から離れてしまつたため,"いわゆる"という言葉が附せられるようになり,その本質も解明されたかにみえるがなお未解決の点もあり,興味ある問題が含まれていると考えて改めて検討を加え,甲状腺癌がいかに多様性の性格をもつているか,また転移巣に見られた所見からして病理組織学的に腺腫の癌化ということを証明することがいかに困難であるかということが再確認された。
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