アンケート
気管支拡張症—症状の多い両側性気管支拡張症(先天性,後天性)の治療
篠井 金吾
1
,
高橋 喜久夫
2
,
宮本 忍
3
,
古城 雄二
4
1東京医科大学外科
2徳島大学医学部外科
3日本大学医学部外科
4国立東京療養所
pp.1231-1233
発行日 1963年9月20日
Published Date 1963/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203159
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両側性気管支拡張症の中では先天性のもので,乾性型あるいは無症状型のものが時としてみられる.このようなものは原則として手術の必要はない,他の大部分は拡張部の感染によつて炎症症状を示す.したがつて気拡症の内科的治療は感染を除去することにあるが,それによつて一次的に症状は消失しても,完全な乾性型にならない限り再燃を繰返し,種々な合併症を生じ,遂には肺性心を起し死亡することが多いので外科的療法の対象となるものである.一般的に内科的療法でも外科的療法でも治療に際しては病巣の拡がりを正確な造影で知らねばならない.気拡症の病巣の拡がりは種々雑多で,1側に限局するものは約半数で,他のものは両側性である.両側性の場合の病巣の拡がりを調べてみると,1.両側1区域に限局するもの,2.両側—肺葉に限局するもの.3.一側は区域性,他側は1肺葉に限局するもの.4.一側は1葉以内に限局,他側は多区域性.5.両側多区域性などの組合せがある.これらの中で1〜3までのものは心肺機能および全身状態を慎重に考慮すれば切除の適応となるものが多い.
両側気拡症に対して切除療法を行なう場合に問題となる点は,左右副肺機能検査により先行術側を決定する必要があり,手術に当つては,術前に分泌物の減少を計り術中の分泌物処理の対策を十分たてておく必要がある.
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