特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅱ)
胆管末節癌
吉岡 一
1,2
1東京警察病院外科
2東京大学
pp.858-866
発行日 1962年8月20日
Published Date 1962/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202957
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まえおき
ここに本例を提示する理由をまずのべておく.
(1)本患者は黄疸のため某病院内科に入院し,鑑別診断が困難なため荏苒2カ月半を費し,ために筆者らの手に渡つた時は肝・腎の障害強く,極めて重篤に見えたが,一次的膵頭側切除を敢行して成功した例である.かかる場合,膵切除を実施して果して肝機能が回復し得るか,あるいは回復し得ないで遂に不幸の転帰を採るかを予め推測することは,手術者として極めて重用であるが,現在われわれは何を目標として,それを決定しているかを述べたい.
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