Japanese
English
綜説
直視下心臟内手術—特に空気塞栓防止策について
Intracardiac Surgery under Direct Vision; with Special Reference to the Prevention of Air Embolism
木本 誠二
1
,
羽田野 茂
1
,
杉江 三郞
1
,
三枝 正裕
1
,
和田 達雄
1
,
浅野 献一
1
,
吉村 亨
1
,
水野 明
1
Seiji KIMOTO
1
,
Shigeru HATANO
1
,
Saburô SUGIE
1
,
Masahiro SAIGUSA
1
,
Tatsuo WADA
1
,
Ken'ichi ASANO
1
,
Tôru YOSHIMURA
1
,
Akira MIZUNO
1
1東京大学医学部木本外科教室
1Department of Surgery, Tokyo University School of Medicine
pp.239-248
発行日 1954年5月20日
Published Date 1954/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201420
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序言
心臓外科の近年の発達並びに普及は眼覚しく,外科治療が行われはじめて僅か数年を経たばかりの疾患でも,今日すでに一般に手術が広く実施されているものが少なくない.動脈管開存,Fallot氏四徴を含む肺動脈狭窄,僧帽弁狭窄などはこれであり,大動脈縮窄,大動脈瘤などの隣接大血管疾患もこれに属している.現在興味を以て研究される対象となつているのは,大動脈弁狭窄に対する安全な術式の考案の外に,僧帽弁閉鎖不全,心房並びに心室中隔欠損,肺動脈狭窄特に円錐部狭窄の切除などである.直接心臓内部に侵襲を加えるに当り,盲目的に手探りで行い得る操作には自ら制限がある.指の触感は鋭敏なようではあるが,その反面操作を加えようとする場合の可能の範囲が予想外に小さいものであることは,少しくこれに携つたものの等しく痛感する所である.従つて心臓内操作の稍々複雑な手術に心臓外科の研究の主目標が移つて行くにつれて,心臓切開の上開放性に操作を加え度いという外科医の願望はますます熾烈となつて来るのである.
1937年Gibbon氏が実用に供し得る人工心肺装置を作つてから,心臓外人工循環の研究は多数の人によつて努力が重ねられて来た.
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