特集 頸部外科臨床の進歩
惡性甲状腺腫
伊藤 尹
1
,
伊藤 國彥
1
,
金地 嘉夫
1
,
大林 公明
1
1伊藤醫院
pp.763-772
発行日 1953年12月25日
Published Date 1953/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201348
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日常臨床外科に於て,甲状腺機能より見て機能亢進を示すものに,バセドウ氏病(突眼性又は中毒性甲状腺腫),急性甲状腺炎等があり,機能低下を示すものに,伊藤の所謂 硬化性甲状腺腫(慢性間質増殖性甲状腺腫炎),ある種の膠樣甲状腺腫等がある。是等に屬せざるものに,一般の膠樣甲状腺腫 大部分の結節性甲状腺腫,地方病性甲状腺腫等があるが,茲に記する惡性甲状腺腫は機能的には殆ど問題とするに足らない。
然るに機械的障碍から見る時は,惡性甲状腺腫は最も重要なるものに屬し,惡性たる所以は,遲かれ早かれ,機械的障碍が腫瘍發生の局處,或は他臓器への轉移巣に於て必發の症状となり,將來必ず不幸の轉機に導く最大の原因となると極言し得るものである。
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