最近の外國外科
甲状腺機能亢進症に対する放射能性ヨード療法,他
W. G. Scott et al.
pp.101-102
発行日 1952年2月20日
Published Date 1952/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200982
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著者たちは269名の甲状腺機能亢進症患者を放射能性ヨード(I131)で治療し,その中の195名は6ヵ月から3年間に亘つて追求調査した.この195名の内訳は,瀰漫性中毒性甲状腺腫が117名,多発性結節性甲状腺腫が35名.甲状腺亞全剔出後に発生している甲状腺中毒症が36名,レ線治療が不成功であつた甲状腺中毒症が7名であつた.瀰漫性甲状腺患者の大部分の者に対しては,その甲状腺組織の重量を推定した重量の各gに対し0.2mc(ミリキュリー)の割合で投與した.又結節性甲状腺腫患者及び外科手術或はレ線照射後に再発した甲状腺機能亢進症患者には一般にこれよりも多少増量して與えた.その理由はこれ等の患者は放射能性ヨードの作用に対して抵抗性が強いように見えたからである.
放射能性ヨードに依つて瀰漫性のもの80名に於て,結節性のものには28名に於て,手術或はレ線療法後に再発したもの22名に於て満足すべき機能低下が得られた.即ちそれ等は全患者の68%に相当する.しかしそれ等の中20%には現在なお多少追加的に甲状腺に対する治療が必要されている.他の32%はその追求調査が適切でなかつたので,その結果の判定は不可能であつた.著者たちはこれ等の成績によつて,甲状腺機能亢進症患者中特別に選定した症例に対しては放射能性ヨード療法の治療價値並に適用の範囲を確定し得たものと考えている。
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