Japanese
English
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項中隔石灰症の臨床
Clinical Observation on Calcinosis C.ircumscripta Septi Nuchae
河邨 文一郞
1
Bunichiro KAWAMURA
1
1札幌醫科大學整形外科
1Dept., Sapporo Medical Univ.
pp.470-472
発行日 1951年10月20日
Published Date 1951/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200901
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項・後頭・背・肩・上肢などの種々の病変にさいし,頸椎のレ線撮影を行つてみると,棘突起背方の軟部陰影のなかに,限局性の濃い影像を認めることがある(図1).その発見は多くの場合,偶然であるのが多いようだが,この影像を見つけた人は誰でも,このものが上記の病変と関係があるかどうか,思い迷うに違いない.このものを最初に報告したBársony1)はこの影像を"石灰結節"と呼び,控え目ながらこのものが上記の領域における疼痛ないし放散痛の原因たりうることを主張した.彼のいう"項中隔限局性石灰症""Fabella nuchae"あるいは"Bársony病"などは,いずれもこの主張を土台に名付けられたものである.
本症の報告例はBársony-Winkler2)のものを除いては,欧米・本邦ともに極めて少く,しかもそのすべてが1例報告的なものにすぎない3)4)5)6)7)8).したがつて本症の症候論はおろか,いわゆる石灰結節の成因論も,充分な根拠に立つて展開せられたことが一度もない.わたくしは昭和19年東大整形外科における1例を報告9)して以来,数度に亘つて発表10)11)12)をつずけ,最近29例を数えるに至つて,本症の全貌をほゞ把握しえたと信ずるようになつた.
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