書評
中島清一(著) 澤 芳樹(監修)—産学連携ナビゲーション—医学研究者・企業のための特許出願Q&A
松田 暉
1,2
1大阪大学
2神戸国際医療交流財団
pp.1381
発行日 2014年11月20日
Published Date 2014/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200119
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この度,大阪大学次世代内視鏡治療学講座の中島清一特任教授が,「産学連携ナビゲーション:医学研究者・企業のための特許出願Q&A」を上梓されました.中島教授は大阪大学外科の同門で,内視鏡外科の分野で先進的な仕事をされ,特にNOTES(natural orifice translumenal endoscopic surgery)の分野では先駆者のひとりであり,内視鏡機器の開発だけではなく,種々の斬新なアイデアのもとで内視鏡による消化器病治療のイノベーション街道の先頭を走っているリーダのひとりでもあります.消化器外科医として,医療機器や手術手技の開発で苦労された経験をもとに書かれた本書は,外科の臨床現場や医療機器関連企業で,特許申請になじみが薄い,またそこに踏み込めない多くの方々にとっての素晴らしい手引書に思います.
本書を手に取ってみて,臨床の外科医として,また大学医学部外科教室での研究時代の自分を思い浮かべました.特に自身が携わった小児心臓外科や低侵襲心臓手術での種々の苦労を思い出しながら,知財に関する専門家やこういった解説書が当時からあったら,一つか二つは特許が取れたのに,と思ってしまいます.そもそも知財とは何か,どういう物が特許になるのかが分からず,思いついては実験し,それを学会発表や論文にすることばかりの日常を過ごした者にとって,現役時代にこういう解説書を一度読んでおけば,何か新たな展開ができたのに,と思わずにはいられせん.
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