1200字通信・62
生んでくれてありがとう
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.230
発行日 2014年2月20日
Published Date 2014/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104966
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- 文献概要
ある日,胃癌の診断で30歳代の女性の方が紹介来院されました.胃癌はスキルスでかなりの進行度でしたが,前医では告知されておらず,いつものようにすべての荷物が丸投げされた状態でした.告知の折には,若いだけではなく突然のことだけに,最初は納得がいかないというご様子でしたが,厳然たる事実を前にして,なんとかご本人やご家族にご理解いただくことになりました.
若いことや食事が通らなくなっていたことから手術を行いはしましたが,術前診断通りの進行程度で,予後は不良と考えられました.しかし,これまた若さのなせる技で,術後経過は順調で,退院後も化学療法を続け,一時はこれで治ってしまうのではないかとさえ思われたのでした.しかし,半年を過ぎた頃から食欲が落ち始め,腫瘍マーカーも徐々に上昇してきて,ご主人だけをお呼びしての辛い説明がくり返されることになりました.
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