ひとやすみ・98
研修医時代
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.535
発行日 2013年5月20日
Published Date 2013/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104585
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医師となり,早30年近くが過ぎ去った.わが子の成長をみると長い年月がすぎたことを自覚せざるを得ないが,自分自身にとって研修医時代はつい先日のように感じられる.そして,臨床を早く身に付けたいと日々競った研修医仲間の姿が鮮やかに思い出される.
研修医Aが日曜日に急性虫垂炎を発症したため,腰椎麻酔下に指導医と手術を行った.たまたま外回りをしていた皮膚科外来の看護師が「血圧測定ができません」と言った.すると,Aは突然,過呼吸を始めて腹部は波打った.まさに虫垂動脈を切るときで,指導医は私が結んだ位置より中枢側で動脈を切った.すると指導医は「動くな,サクシン静注」とのたまい,Aは意識のあるまま呼吸を停止した.そして気管挿管が行われ,手術は続行された.
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