ひとやすみ・86
断捨離
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.791
発行日 2012年6月20日
Published Date 2012/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104111
- 販売していません
- 文献概要
日本は世界に誇る長寿国であり,男性の平均寿命は79歳である.しかし,亡くなる前の7年間は自立できずに他人の世話を受けて生活している.したがって,還暦を迎えた私には,自由に動き回れる期間は残すところ約10年しかない.さらに同級生の突然の死や重篤な罹患を聞くにつけ,最近は身辺整理の必要性を強く感じている.
私の父親は転勤に伴い,実家に祖父母の遺品を含め多くの物を残したまま転居を重ねた.そして,退職後に故郷の地へ帰ることとなった.新たな家を作るにあたり,古い家を取り壊す必要があった.しかし,家には祖父が遺した膨大な書物,家具,そして収集した骨董品が保管されていた.父親は,祖父が17歳から72歳の死ぬ直前まで毎日書き記した日記と家族の写真を除き,これらすべての処分を業者に依頼した.また,私的な記録や書類は畑で焼却処分した.私も手伝ったが,父親は見ることもなくただ黙々と燃やし続けた.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.