特集 できる!縫合・吻合
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
6.肝・胆道
胆管-胆管吻合
安近 健太郎
1
,
上本 伸二
1
Kentaro YASUCHIKA
1
1京都大学大学院医学研究科肝胆膵・移植外科
pp.312-316
発行日 2009年10月22日
Published Date 2009/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102826
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はじめに
従来,胆道再建術は胆道癌や膵頭部領域癌に対する手術における胆道切除後の再建手技として,あるいは膵胆管合流異常症に対する分流手術における再建時に行われ,胆管-空腸吻合術が基本手技となっている.さらに,先天性胆道閉鎖症などの難治性小児肝胆道疾患に対する治療として進められてきた生体肝臓移植術においても,その疾患特性から再建に利用可能な胆管が存在しないことが多く,レシピエント胆道再建は胆管-空腸吻合術が主流である.
一方で,近年の生体肝臓移植術の適応疾患拡大に伴い,成人生体肝移植症例が増加している.非代償性肝硬変や肝細胞癌に対する成人生体肝移植症例では,その対象疾患特性からレシピエント胆管が利用可能である.
そこで,胆管-空腸吻合術では必須の挙上空腸作製に伴う消化管離断や空腸-空腸吻合術を行う必要がなく,胆管-空腸吻合術よりもより簡便で,なおかつ生理的胆汁流出経路が確保できる再建法として胆管-胆管端々吻合術が施行され,当教室でも1999年7月以降,成人生体肝臓移植術においては胆管-胆管吻合を第一選択としている.
本稿では胆管-胆管吻合術の手術手技およびそのコツを述べるほか,注意すべき合併症とその対策についても概説する.
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