コーヒーブレイク
医学と医療
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.454
発行日 2007年4月20日
Published Date 2007/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407101763
- 販売していません
- 文献概要
以前からの手術や化学療法を中心とした癌の治療に,そのかなり早い時期から緩和ケアを併行して行うことが推奨され始めてきました.確かに,あまりに「医学的」な治療に力を入れ過ぎたために,かえって患者さんやご家族にとって寂しく辛い最期を迎えることになった時代もありました.こうした反省に立って,当院でも緩和ケアを早期から併行して行い,患者さんやご家族と相談しながらの治療を行うことに努めています.
こうした問題を検討したおり,医学教育の場で模擬患者として活躍中の佐伯晴子さんの「あなたの患者さんになりたい―患者の視点で語る医療コミュニケーション」という本(医学書院刊)に出会いました.このなかで,佐伯さんは「人は必ず死ぬ」ということを前提に話を進めておられ,「その死の場面に居合わせるのも何かのご縁」と続けておられます.そして,そうした「人の死」に対して,「医学では敗北だったとしても,医療は最後まで味方であってもらいたい」と述べておられます.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.