特集 小外科・外来処置マニュアル
Ⅷ.四肢・皮膚
102.ひょう疽
森 秀樹
1
Hideki MORI
1
1日下部病院外科
pp.312-313
発行日 2004年10月22日
Published Date 2004/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100878
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疾患の概要
指尖部の化膿性炎症がひよう疽で,爪周囲炎とは異なる疾患である.指尖部は刺創や切創などの外傷を受けやすく,細菌感染が起こるとその解剖学的特殊性から独特な経過をとり,治療法の選択を誤ると重篤な状態に進行することがあり,注意を要する.
指尖部掌側は皮膚は厚く,かつ未節骨から皮膚面には縦に張る強靱な結合織が存在し,これにより脂肪組織を含む多数の小囊が形成される.その間には微細な血管網および知覚神経が密集している(図1).このため指先は知覚が鋭敏でかつ皮膚移動が少なく,つまみ動作などの細かな動作が可能となっている.
指尖部の炎症が小囊内脂肪組織に広がると小囊内圧は上昇し,密集した知覚神経を刺激するため,他の部位の炎症と比べ疼痛が激烈となる.
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