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特集 神経疾患の新しい画像診断2
6.プロトンMRスペクトロスコピー(1H-MRS)—中枢神経MR診断における有用性
Proton MR Spectroscopy (1H-MRS): Clinical Usefulness for MR Diagnosis of Central Nervous System
井田 正博
1
,
大西 貴弘
2
,
中村 公行
1
,
新井 健史
1
,
徳山 武一
1
Masahiro Ida
1
,
Takahiro Onishi
2
,
Kimiyuki Nakamura
1
,
Takeshi Arai
1
,
Takekazu Tokuyama
1
1東京都立荏原病院放射線科
2東京都立墨東病院放射線科
1Department of Radiology, Tokyo Metropolitan Ebara Hospital
2Department of Radiology, Tokyo Metropolitan Bokutou Hospital
キーワード:
brain
,
1H-MR spectroscopy
,
cerebral infarct
,
brain tumor
Keyword:
brain
,
1H-MR spectroscopy
,
cerebral infarct
,
brain tumor
pp.935-941
発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902021
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Ⅰ.MRスペクトロスコピー(MR spectroscopy:MRS)
MRスペクトロスコピー(MRS)は,生体組織を構成する原子核からの磁気共鳴信号を測定し,生体内の化学組成の情報を得る方法である。同一の核種でもその周囲の化学的環境(化学結合)の違いによってケミカルシフト(chemical shift,化学シフト)を生じる。このわずかなケミカルシフトの差異(プロトン(1H)で10ppm程度)から生じる共鳴の分裂を測定し,生体内の代謝物質を測定する。したがって,MRS測定にはきわめて均一な高磁場環境が必要になる(1H-MRSではvoxel内の静磁場均一性は0.05ppm以内が要求される)。
現在実用化されている測定核種はリン(31P)とプロトン(1H)である。臨床MR装置が対象としている核種は1Hの画像であり,共鳴周波数が同一な1H-MRSは通常の臨床装置で臨床用の頭部専用コイルを用い測定可能である。1H(63.61MHz,1.5-T)と周波数の異なる他核種のMRS(31P-MRSなど)には専用のハードウェアと専用コイルが必要となる(31P:25.85MHz,1.5-T)。31P専用コイルや1Hと31P両用コイルもあるが,臨床で普及しているMRSは1H-MRSであり,1H—MRSの中枢神経領域における臨床的有用性について解説する。
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