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はじめに
慢性硬膜血腫は,脳神経外科臨床上,ごくありふれた疾患ではあるが,その原因および発生機序については,いまなお議論も多く確固たる定説もない。すなわちその原因として外傷そのものにより硬膜下に出血し血腫が生じ,それが時間の経過とともに被膜化し,かつ増大するという説19)20),かかる慢性硬膜下血腫発生の基盤として硬膜そのものにあらかじめ病変があり,それが血腫発生の必要条件であるとする説20)などが挙げられてはきたが,いずれもいまだ決定的な支持を得るには至らず,確立されていない現状にある。
われわれは,最近,5年,13年,13年という長期の時間的経過を経て,それぞれ片側ずつ両側に慢性硬膜下血腫を生じた3症例を経験した。このように同一の人間に2度までも本症が発症したという事実は慢性硬膜下血腫の発生素因を考えるうえで極めて示唆に富むものと考えられたのでここに報告し若干の文献的考察を加えて発表する。
Three cases of chronic subdural hematoma which showed in one side and then in another side after long interval of 5, 13 and 13 years respectively were presented on this report. There have been many discussions about the pathogenesis of chronic subdural hematoma. However, from the experi-ences of our 3 cases, it was suggested that some vascular changes of the dura mater took a part in the genesis of chronic subdural hematoma. The pathogenesis of chronic subdural hematoma were also discussed with references of literatures.
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