Japanese
English
症例報告
定位脳手術後約3年間経過観察した赤核症候群の1例
RELIEF OF A TREMOR IN THE BENEDIKT SYNDROME BY STEREOTAXIC SUBTHALAMOTOMY: REPORT OF A CASE
伊藤 善太郎
1
,
古和田 正悦
2
Zentaro Ito
1
,
Masayoshi Kowada
2
1秋田県立脳血管研究所脳神経外科
2秋田大学医学部第1外科学教室
1Division of Surgical Neurology, Research Institute of Brain and Blood Vessels
2Department of 1st Surgery, Akita University School of Medicine
pp.91-96
発行日 1973年1月1日
Published Date 1973/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203264
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はじめに
病側の動眼神経麻痺と対側の不全麻痺および不随意運動を主徴とするものはBenedikt症候群,共同運動障害を伴い不随意運動のないものがClaud症候群と呼ばれ,さらに動眼神経麻痺を伴わなくとも,その他は同様な症状を示すものなども含めて赤核症候群と総称されており,これらは赤核やその近傍領野の比較的限局した損傷によって発症することが知られている1)2)。
赤核症候群の症状のうち,不随意運動,特に振戦の発現に関して,上小脳脚や中脳網様体などが関与3)することは実験的及び臨床病理学的に示唆されているが,私達は赤核症候群の1例に定位的SubVim破壊術を行ない,術後約3年間の経過を観察し,振戦が著明に緩解した症例を経験したので,中脳損傷による振戦の発現と視床又は視床近傍領野破壊による振戦緩解の機序について若干の文献的考察を行ない報告する。
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