--------------------
編集後記
喜多村 孝一
pp.956
発行日 1972年7月1日
Published Date 1972/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203163
- 有料閲覧
- 文献概要
10年も前のことであるが「医者は自動車の運転技術を修得するのが誠に下手である」ということを自動車教習所で耳にしたことがある。ことわつておくが私は免許取得に手間どつたのではない。これは一般論として語られたことである。もしこの話が事実であるとするならばどこに原因があるのであろうか。おそらく,医者は,十分納得し理解したうえでなければ軽々しくは事を運ばないという習性を身につけており,個々の動作が慎重すぎるためかと思われる。頭を空にして反射的に手足を動かす運転などという技術を身につけることが不得手なのは当然かもしれない。
しかしそれだけではないようである。これも一般論であるが,医者は自己を主張する点では人後に落ちない。医師会内での華々しい議論をみてもこのことはよくわかるが,また近年の諸学会での学会運営上のくだらない討論をみると,いやという程思い知らされる。これは決して他人事ではなく,かくいう私もその一人である。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.