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編集後記
喜多村 孝一
pp.679
発行日 1973年5月1日
Published Date 1973/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203327
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- 文献概要
世はまさにインフォーメーションの洪水の時代である。学会の機関誌をはじめとして数々の医学雑誌が,一寸油断をすると机の上に山と積まれる。整理しようと立向うと,標題に目を通すだけでも結構時聞がかかり,途中で投げ出すのがおちである。このように,お付合いで目を通さねばならない雑誌の数が多くなると,これに反比例して頭の中に知識として残る情報量は減つてゆくように思えてならない。
第2次大戦中,またそれに続く戦後は,医学書,医学雑誌が底をつき,若き学徒は医書に飢え,これを求め歩き,むさぼり読んだものである。戦争もたけなわとなつてからは,教科書的な書物も入手が大変難しくなつた。クラスの図書係りとして出版元に乗り込み一冊でも多くの書物を得ようと半ば喧嘩ごしで掛け合つた。出版社では他大学の図書係りと鉢合せになつたこともあるが,何だかわけの解らぬ屁理窟をならべて,他大学を尻目に呉内科書をクラス全員のために一括入手し,意気揚揚と引きあげた。
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