神経組織化学アトラス11〈臨床編(5)〉
中毒性神経病変の組織化学
三好 功峰
1
,
生田 房弘
2
,
岩崎 祐三
2
1京都大学医学部精神医学教室
2新潟大学医学部脳研究所神経病理部門
pp.110-115
発行日 1969年2月1日
Published Date 1969/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202502
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A)実験的アザイド中毒について
実験中毒と組織化学との関係について実験的アザイド中毒における酵素組織化学的変化をその一例として示す。アザイト(Sodium azide)は,一酸化炭素や,シアン化物と同様,チトクローム系阻害剤として知られているが,ラッテ腹腔内注射で,線条体,視束,脳梁に病変を生ずる。線条体壊死は両側性であり,一般に低酸素症において基底核に病変を生じやすい原因の解明に好適な研究対象となる。それはさておき,本中毒の線条体壊死によつてみられる組織化学的変化は,アザイト中毒固有の変化というより,むしろ低酸素症,血管障害その他,さまざまな原因によつて生ずる壊死修復の基本的パターンを示してはいるが,線条体が,元来,灰白質と白質が密に混在する固有の構造をもつ部位であるだけに,二,三の興味ある所見がみられる。以下図1,2および図5〜10と,その説明を通じ,その所見を示す。(9頁に続く)
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